いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
社会保険労務士の島田知明です。
突然ですが、
御社では社員の副業・兼業を認めていますか?
「社内の機密情報が漏洩するといけないから認めていない」
「副業・兼業で疲労が溜まって、本業に悪影響がでたら困るから認めていない」
といった反応が多いのかと思います。
今回は、副業・兼業について人事労務の面から考えてみたいと思います。
社員が副業・兼業をする理由を考えたときに、
一つ目は「お金」に対する不安があげられると思います。
- うちの会社には退職金制度が無いから不安だ
- ここ数年、賞与が支給されたことがない
- 昇給が全然ない
- 子供の学費に備えて稼ぎたい
などですね。
二つ目は「スキルアップ」のためです。
- 1社だけの勤務では経験できないことを経験したい
- プチ起業をしてみたい
- SNSの勉強をしたい
といった自己実現のためでしょうか。
また、
国として副業・兼業をすすめる理由としては、
「雇用の流動」が考えられます。
厚生労働省が作成している「モデル就業規則について」のひな型からも、
副業・兼業が原則可能と変更になっています。
更に労働基準法を改正しようとする動きもありますね。
「違う会社で働いた社員の就業時間が、次の就業先でも通算される」
(労働基準法第38条、通達昭和23年5月14日基発第769号)
が、副業・兼業を妨げていると考えられるためです。
イメージとしては、
【他の会社で8時間働いてきた社員が、自社では1時間しか働いていないのに、
自社が残業代を支払う必要がある】
ということになります。
会社の立場からすると、
「なんで当社が残業代を支払う必要があるんだ!」
「副業・兼業者は雇用しない!」
となってしまいますよね。
これでは雇用の流動はむずかしいですよね。
国も働き方改革として力を入れているようです。
「アルバイトのかけもちは良いけど、社員のかけもちはダメ」
がこれからは非常識になるのかも・・・と個人的には考えています。
社員から、
「兼業させてください」
「副業させてください」
と申請があったらどう対処するか、
今から考えておきたいですね。
2019/12/11 追記
複数就業、労災対象に 兼業・副業促進に対応 厚労省
兼業・副業時の労災について検討が進められています。
例えば、
今まではA社で30万円、B社で5万円と給与を受け取っていた場合、
B社で労災を被災すると、B社の5万円を基準に補償がされていました。
今後は、A社の30万円を合わせて35万円で補償される可能性が出てきました。
労働者保護の観点から素晴らしいことだと思います。
一方、会社にとっては「適性な労働時間の管理把握」が求められ、
兼業・副業先の会社等との連携も求められることになりそうです。
かなりハードルは高いと感じますが、人口が急激に減少していく事を考えると避けられない課題です。
福井では兼業・副業をされている人が少ないとはいえ、
過労死は絶対に出してはいけません。
今後も注意深く審議の状況を把握していきます。
ご一読ありがとうございました。
社会保険労務士・人事労務コンサルタント 島田知明
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