いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
社会保険労務士の島田知明です。

社員の「労働時間の適正な把握」が事業主には求められています。

適性な労働時間の把握をするということは、
社員への健康管理に対する責任だけでなく、
時間外労働(残業)にも絡んできますね。

今回は固定残業代(みなし残業代)について考えてみます。

時間外労働・休日労働・深夜労働の時間の把握

固定残業代(みなし残業代)の名称は会社によって様々だと思います。
例えば、

  • 時間外労働手当
  • 役職手当
  • 営業手当
  • 配送手当

などですね。
名称が違っても共通する点としては、
「時間外労働・休日労働・深夜労働」の時間数をしっかりと把握する必要があることです。

たまにですが、
「うちは固定残業代だから」と一言で終わるケースもあるみたいですが、
【固定残業代=労働時間(勤務時間)を把握する義務が無い】
ではないのでご注意下さいね。

規程に記載してありますか?

固定残業代(みなし残業代)を導入するときには、

  1. 就業規則等に規定する
  2. 対象者に固定残業代に含まれる時間数を説明する

の2つは必ず必要になります。
(12/22追記 「区分性」と「明確性」が分かれば、時間数の明示は不要とのご意見もありますが、
経営者と従業員の考え方におけるズレを避けるためにも明示することは重要と考えます。)

規程には

  • 「時間外労働・休日労働・深夜労働の割増分として支給する」旨の明記
  • 「固定残業代を超える残業には差額を支給する」旨の明記
  • 「支給する固定残業代が全額残業代なのかどうか」区別の明記

を規定しましょう。

また、

社員には支給する固定残業代が、
「何時間分の残業代」を含んでいるのか明示する必要があります。

よく、
「何時間分の残業代までなら固定残業代として支給してもいいですか?」
とご質問を頂くことがありますが・・・法律で明記はされていません。

判例等を参考にした筆者の考えにはなりますが、
「時間外・休日労働に関する協定届」(36協定)の上限時間までだと考えます。

なぜなら、
36協定に記載した時間数は、それ以上の労働をさせない事を協定しています。(破ると36協定は無効となります。)
36協定を根拠に固定残業代を設定することは、合理的な説明だと思います。

「未払残業代を1円も出したくない!」ということで、
固定残業代○○○○円(ただし、時間外労働相当分として150時間分)
と設定することは長時間労働に繋がる可能性がありますのでご注意下さい。

もちろん、
賃金改定によって支給する固定残業代が変動したときも明示する必要があります。
うっかりしやすいポイントです。
ご注意下さいませ。

固定残業代の日割り

社員が欠勤したとき、
固定残業代を日割りして支給されていますか?

「固定残業代だからできない」
「固定残業代でもできる」
とご意見が分かれるかと思います。

結論は、

規程によります。

固定残業代は「日割り計算してはいけない」という法律はありません。

ただ、1点お気をつけていただきたいのが、
固定残業代を日割り計算すると含まれる「残業時間数」に変動がある。
ということです。

例えば、
残業単価1,250円/時で、
残業時間数30時間分とすると、
1250円×30時間分=37,500円(固定残業代)となります。

1ヶ月の平均所定労働日数が20日として、
18日間出勤
2日間欠勤
とすると、
37,500円(固定残業代)÷20日(1ヶ月の平均所定労働日数)=1,875円/日
18日分を支給するとなると、
1875円/日×18日間=33,750円(固定残業代)となります。

37,500円(固定残業代)のときは30時間分の残業代が含まれていましたが、

日割り計算をすると33,750円(固定残業代)は、
33,750円(固定残業代)÷1250円(残業単価)=27時間分
と含まれる残業時間数が減少してしまいます。

もし、この月に28時間の残業が発生していると、
28時間-27時間=1時間分の残業代を差額として支給する必要があります。

固定残業代を日割りして支給されている場合は、未払残業代にご注意下さいね。

固定残業代は必要?

最近、
「そもそも社員の勤務時間を適正に把握する必要があるのだから、
固定残業代を廃止すれば良いですよね?」
「実際の残業分だけを支払うのだから、会社にとっても社員にとっても良いことですよね」
とご質問を頂いたことがあります。

就業規則(賃金規程)等を変更して、
固定残業代に関する規定を削除される場合は、
慎重な検討が必要になる可能性があります。

固定残業代は、社員からみれば「賃金」の一部で、
生活給になります。

法的には「不利益変更」になると考えられます。

不利益変更のときには「合理的な理由」が必要
とお聞きしたことはありますでしょうか?

「合理的と言ったって・・・」

と考え込んでしまいますよね。

簡潔に言い換えると、
「それなら仕方ないよね」と社員から言ってもらえること
だと考えます。

労務トラブルを避けるためにも、

  • 社員と話合い個別の同意を得る
  • 段階的な廃止を検討する
  • 代替えとして賞与査定基準の見直し
  • 代替えとして基本給等の上積み  等

とクッションを挟むことがとても大事だと思います。

残業削減に会社が取り組むことは、とても素晴らしいことです。

ただ、残業削減に取組んだ結果、
社員とのトラブルが増えたらやるせないですよね。

本ブログが労務管理のヒントになれば幸いです。

ご一読ありがとうございました。

令和2年1月8日現在
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社会保険労務士・人事労務コンサルタント 島田知明

社会保険労務士・人事労務コンサルタント 島田知明

1985年 福井県大野市生まれ。福井県立大学経済学部卒。卒業後、地元金融機関に勤務し、所属する支店の全店第2位の成績に貢献、チームワークの重要性を体験。「人の成長」に魅力を感じ、専門家である社会保険労務士合格を志し退社。1年3ヶ月間の無職無収入、派遣社員を経て、大手社労士事務所に8年間勤務し1万件を超える人事労務対応を経験。「社員と会社が互いを尊重し、成長できる環境の実現」を理念に掲げ2019年8月開業。
社会保険労務士・人事労務コンサルタント 島田知明

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